2014年6月7日土曜日

愛すべき厚かましさ

先日市電で仕事に向かっていると、こんなことがあった。

停留所で、市電が止まると、乗車しようとしていた若い女性が叫びだした。

「すみませ~ん!すみませ~ん!手を貸してくださ~い!」

ふと見ると、うん、バギーだ。

私は、一瞬、面倒だなあと思ったが、戸口に居たイタリア人の若い女性はすかさず立ち上がり、

バギーを引っ張りあげる。

手伝ってもらった方はか~るく「グラツイエ!」と言っただけで座る。

手を貸した方も貸してもらった方も、何も大げさなリアクション無く、別に自然だ。

まあ、そんな風景を見るのは、ここでは初めてではない。よくある風景だ。

「人に迷惑をかけない」

まるで洗脳のように子供のころから教え込まれて来た私にとって、これは不思議な風景だったけれども、

知らない人同士が自然に助け合うこのシーンって普通にいいなあと思ってしまった。

なるほど、私は娘が赤ちゃんだったころ、一度も他人にこんなふうに助けを求めたことはなかったぞ。

一人で赤ちゃんと出かけるときは、抱っこひもとバギーと両方持って、

地下鉄や市電に乗るときは、バギーを折りたたんで、抱っこひもで抱っこして乗ったなあ。

それでも、ここの人は、私が助けを求めなくても自ら手を貸してくれたなあ。

でも、考えてみたら、他人に助けを求めることと他人に迷惑をかけることは別物じゃないか?

知らない人に自然に助けを求められる社会ってすごく良い社会ではないか?

手を貸してあげた女性は、降りる前にバギーの中の赤ちゃんに微笑みを送って電車を降りていった。

知らないもの同士に小さな心が通い合う姿ってなんかいいなあ・・・。

私は日本は素晴らしい国だと思っているけれども、人と人の間に壁が多すぎるような気がする。

いつもイタリアの愚痴ばっかりこぼしてしまうけれども、こんなふうに愛すべきところもあるのだ。

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